音声言語医学
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大脳半球損傷と構成障害について
―半球側性という観点から―
佐藤 幸子小嶋 知幸加藤 正弘
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2006 年 47 巻 2 号 p. 181-187

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抄録

構成機能が同一個体において左右それぞれの半球に局在するという従来の説に対して, 大脳損傷者を対象とし, (1) 課題と評価方法, (2) 対象の原因疾患, (3) 病巣部位および大きさを統制したうえで, 半球側性という観点から構成能力を検討した.被験者は脳梗塞による左半球損傷者23例と右半球損傷者10例.課題はReyの複雑図形の模写を実施し, 評価はOsterriethの評価法を用いた.結果, (1) 損傷半球別の群問比較では, 左半球損傷群の構成能力は良好であり, 右半球損傷群の構成能力の低下が明らかであった. (2) それぞれの群において, 例外的な得点を示した症例は, 変則的な半球側性が疑われた.以上より, (1) 構成機能は, 同一個体内において左右それぞれの半球に局在すると考えるのではなく, 通常は言語機能の局在する半球の対側 (多くは右半球) に局在する, (2) 例外的には両機能が同一の大脳半球に混在する場合もある, と解釈するのが妥当ではないかと考えられた.

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