音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
Print ISSN : 0030-2813
ISSN-L : 0030-2813
金沢方式による言語指導を受けた聴覚障害児・者の言語性知能
小林 智子
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 47 巻 2 号 p. 194-201

詳細
抄録

金沢大学医学部附属病院耳鼻咽喉科で就学まで継続して金沢方式による言語指導を受けた聴覚障害児・者30名の言語性知能についてウェクスラー知能検査を用いて, VIQ, PIQを良聴耳平均聴力レベル別, 指導開始年齢別に分析した.対象児・者30名中24名 (80.0%) がVIQ85以上の言語性知能を有していた.良聴耳平均聴力レベル別では, 90dB未満群, 90dB以上群の2群間でVIQに有意差はなかったが, 90dB以上群は指導開始年齢が90dB未満群より有意に早かったので, 平均聴力レベルの違いによるVIQ値の比較は今後の検討が必要である.指導開始年齢とVIQの関係は, 0歳代開始群, 1歳代開始群, 2歳代開始群, 3歳以上開始群の各群間に有意差はなかった.以上より, 聴覚障害児の言語性知能を促進する言語指導法として, 文字言語の早期導入を行う金沢方式が効果的であるということがわかった.

著者関連情報
© 日本音声言語医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top