音声言語医学
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嗅覚障害に高次脳機能障害を合併した症例
能登谷 晶子原田 浩美石田 千穂小林 智子古川 仭
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2006 年 47 巻 2 号 p. 213-218

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抄録

嗅覚障害に高次神経機能障害を合併した1症例を経験し, その高次神経機能障害について検討したので報告した.症例は現在10歳の右利きの女児で, 小学校入学後に嗅覚障害に気づかれた.7歳9ヵ月近医より嗅覚検査の依頼で金沢大学附属病院耳鼻咽喉科を初診した.経過中, 本例の母親から計算を始めとする学習上での問題があるという訴えがあり, 8歳6ヵ月以降高次脳機能評価を開始した.本例では全般的知能は正常であるが, 高度の嗅覚障害と, 左右障害, 計算障害, アナログ時計の読みや針入れ課題困難, かなの書字障害, 立方体の模写障害などからなる高次機能障害が認められた.本例の高次神経機能障害は, 空間的操作が要求される課題を中心に障害があると考えた.

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