2006 年 47 巻 2 号 p. 240-246
ピアルロン酸レセプターとしての機能をもつ接着分子であるCD44の発現と声帯粘膜内のピアルロン酸の分布を新生児, 乳児, 成人で研究した.
新生児の声帯粘膜ではピアルロン酸の分布に先立って黄斑内の星型細胞とラインケ腔内の線維芽細胞にCD44の発現を認めた.声帯粘膜にピアルロン酸が分布する乳児期以降では黄斑内の星型細胞のほとんどにCD44の発現を認め, その周囲の黄斑にピアルロン酸がより密に分布していた.この傾向は成人になっても同様であった.
声帯の黄斑部の星型細胞がピアルロン酸の産生に深く関与し, 声帯粘膜のピアルロン酸の維持, 代謝に関与していることが示唆された.また声帯の黄斑部とそこに密に分布するビタミンA貯蔵星型細胞が声帯粘膜の細胞外マトリックスの代謝に関与していることが示唆された.