音声言語医学
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実験的口腔異常感覚による音声変化の音響分析
塩見 周平内山 健志
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2006 年 47 巻 3 号 p. 276-282

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抄録

本研究は口腔異常感覚が音声にいかなる影響を及ぼすかを解明することを目的として, 下顎孔伝達麻酔を施行し, 口腔異常感覚によって生じた音声変化について音響解析を行った.さらに, 構音へのフィードバック機構について音響分析を行った.対象は成人男性14名とし, 被検音は日本語5母音および無声破裂音, 無声摩擦音, 無声破擦音8単音を用いた.その結果, 以下の結果を得た.1.母音は麻酔後には麻酔前と比べて, すべての母音で発声強度が増強を示し, 基本周波数は上昇する傾向を示した.2.先行子音波継続時間は, 麻酔前と比べて麻酔後には短縮を示し, 「タ」「チ」では有意の差で短縮が認められた.3.先行子音波の発声強度は, 検査音のすべての子音で下顎孔伝達麻酔後には増強を示した.4.下顎孔伝達麻酔による口腔異常感覚は, 母音と無声子音に明らかに影響を及ぼした.

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© 日本音声言語医学会
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