音声言語医学
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早期より聴覚活用した重度聴覚障害者のコミュニケーションとその満足度 (特別発言)
中村 公枝
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2006 年 47 巻 3 号 p. 323-331

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抄録

早期より聴覚活用した重度聴覚障害者とその親にアンケート調査を実施した.そのなかからコミュニケーションに関する調査結果を報告し, コミュニケーション技能, その有効性, 心理的状況およびその満足度について考察した.その結果次のことが明らかになった. (1) 補聴器の装用率は91%と高く, 1対1の対話や話の流れの理解に聴覚が有効活用されている, (2) TVや集会などでは音声言語の理解の困難性は顕著に増加する, (3) 相手や状況に即し, 音声言語, 手話, 筆談など多様な方法を使い分けている, (4) 音声使用への抵抗感は全体に低く, コミュニケーション困難場面への多様な対処方法を有している, (5) 重度聴覚障害者においても聴覚活用への意欲は高い.以上のことから豊富なコミュニケーションストラテジーの適切な活用は, 聴者との積極的な交流と心理的ストレス軽減に寄与することが示唆された.

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© 日本音声言語医学会
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