抄録
岡山県では平成13年7月より岡山県新生児聴覚検査事業を開始した.現在では全出生児の約75%がスクリーニング可能となっている.平成17年3月時点までに48例の両側難聴児と34例の一側性難聴児が発見された.48例中, 軽・中等度難聴児は43.8%と聴力程度にかかわらず発見が可能であり, ローリスク児も60.4%と多かった.しかし, 全出生児のうち残された25%のスクリーニング未受診児への対応の必要性は認識されてはいるがその対応は容易ではない.後天性および進行性難聴の存在により, 長期的な観察の必要性を再認識させられた.同時に, スクリーニングpassであってもその後, 聴こえあるいはことばの遅れを心配して来園するケースも少なからず存在するため, スクリーニング後は健診など従来難聴発見に用意されていたシステムをさらに充実させることが療育的な援助の遅れを少なくするためには重要であると考えられる.