音声言語医学
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音声から話者の気持ちを理解する脳機構
本間 縁今泉 敏小澤 由嗣丸石 正治村中 博幸
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2007 年 48 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

言語的意味が肯定的または否定的なフレーズを喜びまたは憎しみを込めて発話した音声を使用し, 成人男女を対象に音声から発話者の気持を推測する課題 (気持ち推定課題) , 発話者の気持とは関係なくフレーズの言語的意味を判断する課題 (言語課題) を行っているときの脳活動をfMRIで観測し, 背内側前頭前野が音声コミュニケーションに果たす機能および性差を考察した.その結果, 両課題とも左背内側前頭前野が活動し, 気持ち推定課題では, 女性被験者に比較し男性被験者のほうが右背内側前頭前野の活動が有意に強かった.反応時間は両課題とも男性のほうが長かった.音声の感情属性と被験者の判断の一致率には, 気持ち推定課題でのみ性差があり, 男性のほうが低かった.背内側前頭前野は発話者の気持を推測する機能に関与し, 活動レベルの性差が発話者の気持の推測過程の性差に対応することが示された.

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© 日本音声言語医学会
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