2007 年 48 巻 3 号 p. 215-224
dysarthria263例 (言語治療実施群187例と言語治療を実施しなかった対照群76例) を対象とし, 言語治療成績について検討し以下の結果を得た.
1.脳血管障害, 脊髄小脳変性症, パーキンソン病に起因する言語治療実施群では言語治療前後で比較して有意に明瞭度が改善したが, 対照群では有意差は認められなかった.
2.脳血管障害に起因する言語治療実施群では, 重症度にかかわりなく有意な明瞭度の改善が認められ, 重症化するほど, 改善の程度が大きくなる傾向が認められた.また, 病期にかかわりなく有意な明瞭度の改善が認められた.
3.ALSに起因する言語治療実施群では言語治療前後で比較して有意差は認められなかった.軽度例は経時的に明瞭度がほぼ確実に低下し, 重度例のほとんどは最重度の段階で停滞した.
以上の結果に基づいて, dysarthriaの臨床において有効な言語治療手法について検討を加えた.