難聴乳児1例をビデオで観察し, 症例がその気持ちを察してもらいながらあやされた結果, 生後7ヵ月過ぎから自発的に養育者との関係をつくり, その関係をさまざまに試す (対人的循環反応) なかで, ことばの基盤を形成し始め, 生後11ヵ月頃, 初期のことばを発見する過程を示した.
養育者との対人的循環反応における関わりから, 症例は「待つ」という期待感を込めた行動や, 動作と視線と声を組み合わせた表現方法を派生させ, やがてことばを使うにいたった.本症例の自発的な言語の獲得では出生後よくあやされ, 積み木を倒すなどで自発的に養育者との関係をつくろうとすることが重要であったと考えられた.