音声言語医学
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韓国の聴覚障害児における音韻論的条件による格助詞の誤用と聴力との関係
金 銀珠伊藤 友彦
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2008 年 49 巻 3 号 p. 167-173

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抄録

韓国語の格助詞を正しく使用するためには, 1) 主格や目的格などの格の種類を決定する能力に加えて, 2) 音韻論的条件 (前の音が母音か子音か) によって格助詞を使い分ける能力が必要である.従来の研究において, 格の種類を決定する能力と聴力との間には相関がないといわれてきた.しかし, 音韻論的条件によって格助詞を使い分ける能力と聴力との関係について詳しいことは明らかになっていない.そこで本研究では韓国の聴覚障害児を対象として, 格の種類の誤用と音韻論的条件による格助詞の誤用それぞれについて聴力との相関を検討した.その結果, 1) 格の種類の誤用も, 音韻論的条件 (母音か子音か) による格助詞の誤用も聴力とは有意な相関を示さなかった.一方, 2) 格の種類の誤用と音韻論的条件 (母音か子音か) による格助詞の誤用との間には有意な相関が認められた.

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