本研究では, 全国の医療関係者140名 (医師, 言語聴覚士, 臨床心理士など) に横断的な調査を行い, 学習障害児への評価・診断・指導に関する教育機関との連携の実態と, 連携行動を促進もしくは抑制する要因メカニズムについて検討した.
結果としてどの職種の医療関係者も, 連携の必要性意識は高いが実際の行動は少ないと認識していた.また, 連携行動に関する多くの項目で医師の得点が他職種より高く, 教育機関との連携時には医師のリーダーシップが重要なことが示唆された.
連携行動への影響要因を探るパス解析では, 医療関係者のアセスメント実施頻度の高さが医療関係者から教員への援助を促し, それが医療と教育の双方向的な連携につながるという結果が得られた.また, このアセスメント実施頻度の高さは, 医療関係者による親や担任教員との「情報交換」の活発さに基づくものであることが示された.