音声言語医学
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諸外国における言語障害者対策の現况
田口 恒夫
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1964 年 5 巻 1 号 p. 19-22

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抄録

以上の調査により, (1) 言語障害問題はいずれの国にも共通した重大な社会問題であり, 各国それぞれその国なりの対策を有すること, (2) 言語治療に関してはいまだ解明されていない問題が多く, 今後の研究に俟つところが大きいが, (3) 治療サービスを行えば, それなりに効果があり, 意義のあるものであること, および (4) 口蓋裂乳幼児早期治療対策・吃音児指導対策・ろう難聴乳幼児対策・言語治療教室・難聴学級・重症言語障害児対策・読みの障害を有する子どもの対策・成人のためのclinic等がぜひ必要であることを知った.
しかし, これらを実施するうえにもつとも重要なものは, 資格ある専門職であり, この養成の質 (程度) と量が, その国の将来のrehabilitation programの質を決定的に左右するものであることが明らかにされた.また, 大学課程と無関係な養成機関を設置したり, 低いレベルでの養成を始め, 政策に便乗してclinic等のサービス機関を乱造すると, 年とともに多くの問題が蓄積し, 拾収のつかぬ事態に陥つて, programの内容が歪められ, 社会にも学会にも誤った認識を与え, rehabilitationの実が挙らなくなるおそれが大きいものであることを知つた.

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© 日本音声言語医学会
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