日本医真菌学会雑誌
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総説
アスペルギルス感染症の血清診断法と (1→3)-β-D-グルカン測定法の進歩
吉田 耕一郎
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2006 年 47 巻 3 号 p. 135-142

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抄録

深在性真菌症の血清診断法はわが国の日常診療で多用されている. 中でもアスペルギルス感染症の血清診断法として現在, 最も高い信頼性が認められるのはガラクトマンナン抗原をELISA法で血中に検出する方法である. ただし近年, 本法の測定妨害因子の報告も多く, 検査の運用には注意が必要である. これ以外にもいくつかのアスペルギルス抗原または抗体を検出する方法の検討も進められている. 一方, 深在性真菌症のスクリーニング検査としてわが国で開発された (1→3)-β-D-グルカン測定法は, アルカリ処理―発色合成基質カイネティック法における非特異反応の高頻度出現に伴う偽陽性が問題視されていた. 2005年にこの点の改良がなされ, 本法の臨床的有用性は向上すると思われる. 本稿ではアスペルギルス感染症の血清診断法の最近の流れと, (1→3)-β-D-グルカン測定における非特異反応問題の解明とその測定法の改良に至るまでについて概説する.

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© 2006 日本医真菌学会
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