日本医真菌学会雑誌
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総説
同種造血幹細胞移植における深在性真菌感染症予防
上 昌広松村 有子
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2006 年 47 巻 3 号 p. 143-153

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抄録

造血幹細胞移植は, 進行期造血器腫瘍に対する根治療法として有効性が確立している. 前処置強度を弱めた移植法が開発され, ミニ移植と称されている. ミニ移植では前処置による副作用は軽度であり, 高齢者や臓器障害を有する患者にも応用可能である. 2000年代に入り, 悪性リンパ腫や一部の固形腫瘍にも有効であることが明らかになり, 更に, 非血縁ドナーや臍帯血を用いたミニ移植の研究も進んでいる. 真菌感染は造血幹細胞移植における主要合併症である. いったん真菌感染症を発症すると予後不良のため, 移植後の真菌感染対策は予防に重点が置かれてきた. 近年の移植を取り囲む状況の変化により, 感染対策も変化しつつある. 院内の環境対策が真菌感染予防に重要なことは言うまでもない. しかし, ミニ移植後の真菌感染発症の中央値は移植後100日で, 多くの場合, 外来治療中に発症する. このため, ミニ移植における真菌感染対策では, 抗真菌剤の予防投与が注目されている. 近年, 複数の新規抗真菌剤が開発され, 臨床応用が進んでいる. 真菌感染症領域で, このように多くの薬剤が同時に開発されたことはなく, この数年以内に真菌感染対策は大きく変化することが予想される.

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© 2006 日本医真菌学会
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