抄録
アンケート・文献より集めた重複例をチェックした1981年までの2,913例の内臓真菌症につき, 統計的, 疫学的に集計した.
症例の内訳は, アスペルギルス症1,124例, カンジダ症824例, クリプトコックス症663例, ムーコル症131例, ノカルジア症52例, 重複感染真菌症119例で, これらについて年度別, 性別, 年齢別, 地区別に疫学面からの検討を行うとともに, 病型, 続発症例の割合, 基礎疾患, 診断法, 予後についても検討した.
また, アンケート回収率, 報告例の割合, 病理剖検輯報記載状況などからわが国における内臓真菌症例数についても推測した.
更に, 集計年代の違いによる内臓真菌症の変化についても述べた.
これらの集計は, わが国における内臓真菌症の現状をみる上で一つの素材となり得るであろう.