29 巻 (1988) 2 号 p. 88-93
真菌検査法のうち,直接鏡検標本の作製および鏡検ならびに分離培養時の留意点について列記し, 併せて酵母様真菌同定用キットの検討成績について記述した.
検査にあたっては検体採取および保存法にも留意し, 検体は病巣中心部のみでなく健常部分を含む病巣移行部分を採取した方が良く, 出来るだけ早く検査する. 止むを得ず保存する場合は適切な方法で保存する.
内臓真菌症においては検出される菌量が少いことが多いので遠心するなど集菌を心がける. 直接鏡検は病因的考察に際して, また迅速診断法としても意義の高いものである. 鏡検時に直接標本中に認められる形態は分生子または菌糸性菌要素が殆どで培養後に観察される形態とは異なることを念頭において鏡検する. 観察は丁寧に行い, 何よりも真菌要素を見つけ出そうという意欲をもって検査にあたることが肝要である. その為には日頃から臨床と連繋し, 出来るだけ多くの患者に関する情報を入手できるようにしておく.
分離培養用培地としてはサブロー寒天培地が繁用されるが本培地上で酵母様真菌は種属による集落の特徴に乏しい. 集落による種属の鑑別が可能とされる分離用培地の併用は有用と思われる.
酵母様真菌同定用キットはそれぞれに特徴があり, それらを熟知して使用すべきと思われた.