33 巻 (1992) 2 号 p. 191-197
症例1)71歳女,顔面の中心治癒傾向のある境界明瞭な手掌大までの落屑性紅斑.症例2)3歳女児,左下腿の中心治癒傾向のある境界明瞭な拇指頭大の落屑性紅斑.症例3)58歳女,第2例の祖母,後頭部の中心治癒傾向のない境界明瞭な拇指頭大までの紅斑局面.症例3)の皮疹部の毛は正常であった.3例とも,ステロイド外用歴があり,鱗屑からT.violaceumが分離され,抗真菌剤の外用で治癒した.自験3例を含む,T.violaceum(glabrum)による体部白癬単独の本邦29例(1969年~1989年)の臨床的特徴を検討した.男性4例,女性25例で,圧倒的に女性に多い.半数が12歳以下で,残りは20代から70代まで分散している.顔面が最も多く,他の部位は頻度が低いが,全症例の90%は露出部位に皮疹を生じている.27例中19例(70.4%)に,同じ菌による感染症の家族内発生がみられる.15例中12例(80%)にステロイド外用の既往がある.皮疹は通常鶏卵大以下で,多発9例,単発15例である.
以上より,T.violaceum(glabrum)による体部白癬単独症例の臨床的特徴は,通常女性で,あらゆる年齢層に分布するが特に12歳以下に多く,露出部位に小病巣が単発することと言える.