35 巻 (1994) 2 号 p. 123-127
病原真菌の分子生物学的研究とは,種々の表現形質について,遺伝子の発現と制御の機構を解析していくことであり,医真菌学では,それらの知見をもとに,真菌症の診断や治療への方途を探ることであろう.ここでは,Candida albicansの染色体多型性についての研究を紹介した.C.albicansは,2倍体で,有性生殖を行わないので,パン酵母などで行われる突然変異体の分離,組み替え体の解析による染色体地図の作成方法などをそのまま踏襲できない.したがって,準有性的解析,遺伝子工学的方法によって研究が進められている.C.albicansの染色体の数と大きさは,パルスフィールド電気泳動法によって識別され,その分離パターンは電気泳動核型と呼ばれる.これは種や菌株に特徴的で疫学的に応用できるが,ここでは,この多型性をもたらす染色体再配列に関与すると想定される反復配列RPSについて解説した.