日本医真菌学会雑誌
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爪白癬の外用療法-40%尿素含有ビフォナゾールクリームによる密封療法の有用性について-
海野 公成坪井 良治小川 秀興
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1994 年 35 巻 3 号 p. 281-286

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抄録
従来,爪白癬の治療は抗真菌剤の外用療法だけでは困難であり,グリセオフルビンの内服療法が一般的であった.しかし,グリセオフルビンの長期に亘る服用を嫌う(出来ない)症例や,何らかの合併症の為に適応できない症例が数多く存在することは周知の事実である.そこで今回,爪白癬の患者50例(男29例,女21例)に対して,夜間40%尿素を含有するビフォナゾールクリームによる密封療法を施行し,翌朝1%ビフォナゾール液の単純塗擦を行うという治療法を連日繰り返し施行した.初診時より原則として2週毎に検鏡を行い,12週後の時点で効果を判定した.12週目の時点で来院せず効果が判定できない場合は,8ないし10週後の時点で判定した.また,8週間以上治療が継続できなかったものはdrop outとした.その結果,直接検鏡陰性に至った症例は26例,菌陽性の継続した症例は14例,drop outした症例は10例であった.すなわち,8週以上治療を継続し得た症例は40名で,このうちの26名,65%の症例において菌の陰性化が観察された.副作用は,局所刺激感を認めた1例だけであった.この治療方法は,グリセオフルビン抵抗性の爪白癬や爪カンジダに対しても有用と考えられ,更には何らかの基礎疾患を有する患者に対しても安心して施行できる有用な治療法と考えられた.今後使用方法や期間等を検討しつつ頻用されてしかるべき方法と考えられた.
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