日本医真菌学会雑誌
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深在性皮膚真菌症に対する新しい抗真菌剤の効果とその限界
比留間 政太郎
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1994 年 35 巻 4 号 p. 353-359

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抄録

深在性皮膚真菌症の治療における,新しい内用抗真菌剤(New azole群薬物:フルコナゾール,イトラコナゾール)の役割りについて考察した.白癬の治療においては,New azole群薬物はグリセオフルビンに代わりうるものと思われた.慢性粘膜皮膚カンジダ症の治療においては画期的な進歩がもたらされたと思われるが,サイトカインによる治療も含め,さらに優れた薬剤が望まれる.皮膚のスポロトリコーシスでは,今後,イトラコナゾールが治療の中心になるのではないかと予想される.皮膚以外の本症では,殺菌的作用のより強い抗真菌剤が望まれる.クロモミコーシスは薬物治療に反応し難い真菌症であるが,New azole群薬物に反応しない症例では温熱療法,フルシトシン内服・その他との併用,外科的治療などを考慮する必要がある.クロモミコーシスの増悪・進行例や全身感染例では,重症化の免疫学的機序の検索が必要である.原発性および限局性皮膚クリプトコックス症では,New azole群薬物の有効例が報告されている.新しい抗真菌剤の登場で,医真菌学が更に発展することは間違いないと思われる.

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