Cryptococcus neoformansを[14C]acetate(NEN)で標識し(continuousおよびpulse labeling),各脂質に取り込まれた放射活性を経時的に測定し,Cr.neoformansの増殖に伴う脂質合成の変化を推定した.さらに,Candida albicansについても同様の検討を行い,両者を比較した.
Cr. neoformansでは[14C]acetateの脂質への取り込みはgrowth phaseで盛んに行われ,stationary phaseでは減少し,細胞内での修飾・転換が重要な役割を果たすことが推測された.Stationary phaseでは,培養時間とともにトリアシルグリセロール(TG)が減少,遊離脂肪酸(FFA)が増加し,分解系が亢進していると考えられた.一方,C. albicansはgrowth phaseに膜の主要構成成分であるホスファチジルコリン(PC)が増加し,stationary phaseでは減少傾向を示し,逆にTGの蓄積がみられ,Cr. neoformansにおける変化と異なった傾向を示した.また,酸性リン脂質のホスファチジルセリン(PS),ホスファチジルイノシトール(PI)が菌の増殖の盛んな時期に増加してみられる点では両者とも共通していた.