日本医真菌学会雑誌
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急性リンパ性白血病にFusariumによる深在性真菌症を合併した一例
遠藤 一博柏村 琢也吉田 勝彦半田 敦史坂田 亨伊東 克郎福田 正高陣内 逸郎室橋 郁生別所 正美齋藤 昌信平嶋 邦猛井上 靖
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1997 年 38 巻 1 号 p. 81-85

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抄録

症例は,19歳男性,1992年9月急性リンパ性白血病(FAB分類ALL L2)と診断しJapan Adult Leukemia study Group (JAL-SG)プロトコールにて治療し完全寛解に到った後,1994年8月,再発しprednisolone, vincristineによる寛解導入療法を行った.その後,cytarabine,l-asparaginaseにて治療し長期間,骨髄抑制が起こり,発熱と潰瘍底を形成し中心部が壊死に陥った皮疹が全身に認められるようになった.
皮膚生検を行い,培養の結果Fusarium solaniを検出した.そのため,granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) 350μgを連日静注し,amphotericin B (AMPH)を点滴静注し1mgから開始し40mgまで増量した.しかし,原疾患の悪化に伴いPseudomonas aeruginosaによる敗血症を併発し死亡した.剖検では全身各種臓器にもFusariumによる播種性病変が認められた.とくに肺,消化管,腎,心,膵,筋肉に多発性病変を,また腎は一部梗塞を伴う病変を認めた.今後,免疫不全患者の増加によりこのような弱毒真菌感染症が増加するものと思われた.

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