日本医真菌学会雑誌
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マクロファージのCryptococcus neoformansに対する殺菌機構:マウスとヒトの比較検討
川上 和義
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1997 年 38 巻 3 号 p. 233-238

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抄録

Cryptococcus neoformans(Cn)感染に対する防御機構は主に細胞性免疫によって担われ,NK細胞,γδT細胞及びヘルパーT細胞から産生されるIFN-γによってマクロファージが活性化され最終的な殺菌に関わっている.
マウス腹腔マクロファージを用いた我々の実験では,IFN-γによって誘導された抗Cn活性はnitric oxide(NO)産生とよく相関しており,NO合成阻害剤によって完全に抑制されることから,NOが主要な殺菌メディエーターと考えられた.また,酸素系ラジカルのスカベンジャーであるsuperoxide dismutase(SOD)やカタラーゼの影響を調べると興味深いことにNO産生増強を介して抗Cn活性が高められた.
一方ヒトマクロファージについては,マウスと異なりNOを全く産生できないとする報告と刺激方法によってはNO産生がみられ感染防御に関与しているとする報告があり未だ統一した見解が得られていない.我々のヒトマクロファージ細胞株U937を用いた実験では,種々の刺激によって全くNO産生が認められなかった.また,抗Cn活性はNO合成阻害剤やSOD,カタラーゼによって全く影響がみられなかった.
このようにヒトとマウスではマクロファージの殺菌機構においてかなり異なっており,マウスで得られた知見がそのままヒトに適用できない可能性が考えられる.

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