日本医真菌学会雑誌
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高齢者の舌からの直接顕微鏡検査と分離培養によるCandida albicansの検出
加藤 卓朗木村 京子谷口 裕子丸山 隆児西岡 清
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キーワード: 直接顕微鏡検査, , 高齢者
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1997 年 38 巻 3 号 p. 253-257

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抄録

基礎疾患のない高齢者を中心に,舌の直接顕微鏡検査とCandida albicansの分離率の検討を行った.対象は主訴が舌に関することではなく,その他のことで受診した61歳以上の基礎疾患のない健常人161例で,60歳以下の162例をコントロールとした.培地はchloramphenicolを加えたサブロー・ブドウ糖寒天平板培地を用いた.滅菌綿棒で舌の正中部を中心に擦過し,直接鏡検と真菌培養を行った.直接鏡検では菌糸形菌要素を認めるものを陽性としたが,菌要素は少数のことが多かった.直接鏡検陽性率は61歳以上では161例中12例(7.5%)で,60歳以下では162例すべてが陰性であった.陽性例の内訳は男10例,女2例で,年齢は68歳から90歳で平均80.3歳であった.舌の臨床所見は,平坦な発赤した舌が7例,剥がれにくいやや厚い白黄色調の舌苔を認めるものが4例,舌苔が灰黒色(軽い黒毛舌)が1例であった.味覚異常を2例が訴えた.一方,陰性例においても同様の臨床所見を呈する例があり,臨床所見から直接鏡検の結果を予想することは困難であった.直接鏡検陽性12例からはすべてC.albicansが分離され,それを含めた分離陽性率は,61歳以上では161例中87例(54.0%)で,60歳以下の162例中16例(9.9%)より有意に高値であった.以上,直接鏡検陽性例すべてが発病しているとはいえないが,61歳以上では健常人においても,C.albicansの分離率が高いのみではなく,直接鏡検陽性例も多いことが分かった.

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