超音波医学
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原著
拡張期左室内渦流に対する血行動態の影響
中谷 敏和田 成生増山 理
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2013 年 40 巻 3 号 p. 273-281

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抄録

目的:左心室では効率のよい血液流入のために拡張期に渦流が発生する.しかし,血行動態の変化に伴う渦流の動態は明らかではない.本研究ではechodynamographyを用いて拡張期渦流に対する血行動態の影響を検討した.対象と方法:麻酔開胸犬8頭を対象とし,日立アロカメディカル株式会社製Prosoundα7を用いて心尖長軸像を描出した.カラードプラ法を用いて,負荷前,エスモロール負荷時(250 μg/kg/min),ドブタミン負荷時(5.0 μg/kg/min)の画像を取得し,パルスドプラ法で記録した左室流入血流速波形よりE波を測定した.Echodynamographyを用いて拡張期の渦流の最大流量(Qmax),渦流の半値面積(S),渦強度(Qmax/S)を,僧帽弁前後輪を結ぶ線をX軸,その中心に直行する直線をY軸としてXY平面上で渦流位置を計測した.計測値を左室収縮期圧,左室拡張末期圧,±dP/dt,左室圧下降脚の時定数(tau)と比較した.結果:Qmaxはエスモロール負荷時,有意に減少し,ドブタミン負荷時は,増加傾向にあった.Sはエスモロール負荷時に,減少傾向にあり,ドブタミン負荷時には増加傾向にあった.その結果,エスモロール負荷時,ドブタミン負荷時に,Qmax/Sの有意な変化はみられなかった.渦位置も負荷によって変化しなかった.QmaxはE波と良好な相関を示したが,左室収縮期圧,左室拡張末期圧,±dP/dt,tauには有意な相関を示さなかった.結論:血行動態の変化に伴い左室流入血流速度が増加すると,渦流の最大流量は増加し,半値面積も増加した.拡張期渦流は左室流入血流動態の影響を受けると考えられる.

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© 2013 一般社団法人 日本超音波医学会
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