2015 年 42 巻 4 号 p. 487-504
びまん性肝疾患の長期予後において,肝発癌リスクの評価として肝線維化の診断や治療による肝線維化の改善の評価,予測をすることは非常に重要である.肝線維化の評価は肝生検組織診断がゴールドスタンダードとされるが,侵襲的であるため繰り返し評価が困難であることや,サンプリングエラーなどの理由により,肝生検に代わる非侵襲的かつ正確な肝線維化評価法が望まれている.これまでに血小板数や肝線維化マーカーの測定,血液検査を基にした肝線維化計算式などが試みられてきた.また,超音波を用いた肝線維化評価法も開発され,その有用性が報告されつつある.Real-time tissue elastography(RTE)は日本で開発,市販の診断装置に搭載された技術で,生体内の組織ひずみを高速演算する手法であるcombined autocorrelation method(CAM)を用いて,リアルタイムで組織の相対的な硬さ情報をカラー表示するものである.肝線維化の評価においてRTEは非侵襲的かつ簡便に計測可能である.RTE画像から得られた特徴量や様々な肝線維化stage評価法と肝線維化との関係が報告されたが,RTEは炎症や胆汁うっ滞および脂肪沈着の影響を受けることなく線維化を良好に反映した.また,治療による肝線維化の改善を経時的に評価可能であった.