超音波医学
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原著
肝造影MRI検査の肝細胞相を用いた胆管描出と胆管近接肝細胞癌症例における仮想超音波の有用性
小泉 洋平廣岡 昌史越智 裕紀徳本 良雄武智 恵平岡 淳池田 宜央熊木 天児松浦 文三阿部 雅則日浅 陽一
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2017 年 44 巻 2 号 p. 167-174

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抄録

目的:本研究は,胆管の解剖学的構造を超音波検査で評価することと, Gd-EOB-DTPA(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriamine pentaacetic acid)造影MRIの肝細胞相において肝内胆管の描出能を解析し,仮想超音波像を局所療法支援画像として用いたラジオ波焼灼術(RFA)の安全性と有用性を明らかにすることを目的とした.方法:本研究は施設内倫理審査委員会によって承認され,本研究に参加することに対するインフォームドコンセントを書面で得た.Gd-EOB-DTPA造影MRIを施行した肝腫瘍を有する201例で,胆管の解剖学的構造を評価した.これらの患者のうちの81例に,超音波とGd-EOB-DTPA造影MRIから構築した仮想超音波を支援画像に用いてラジオ波焼灼術(RFA)を施行した.また,23例で腫瘍が中部胆管から半径5 mm以内に存在していた.結果:Gd-EOB-DTPA造影MRIで構築した仮想超音波画像によって,総胆管,左肝管,右肝管をそれぞれ96.5%,94.0%,89.6%で描出することができた.仮想超音波検査装置を使用して,標的とした肝細胞癌と胆管を全患者で描出することができ,重篤な合併症はみられなかった.結論:Gd-EOB-MRIによる仮想超音波像を構築することで腫瘍と胆管の位置関係を把握し胆管損傷を予防できる.

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© 2017 一般社団法人 日本超音波医学会
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