超音波医学
Online ISSN : 1881-9311
Print ISSN : 1346-1176
ISSN-L : 1346-1176
症例報告
肝切除術施行に超音波ドプラ法が有用であった肝静脈走行異常を伴う肝内結石症の一切除例
脇 英彦上田 真喜子伊東 宏祐中島 隆善生田 真一相原 司岸 清彦山中 若樹
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 44 巻 4 号 p. 389-394

詳細
抄録

肝静脈走行異常を伴う肝内結石症の一切除例を経験した.症例は60歳代女性,心窩部痛と左背部痛を自覚し受診.腹部超音波とCT検査で左葉肝内結石とその末梢胆管に拡張を認め,入院となる.Bモード像ではB2起始部に径15 mmの音響陰影を伴う高エコーを認めた.末梢側の肝内胆管は径10 mmと拡張していた.中肝静脈は下大静脈合流部付近で途絶していた.左肝静脈と右肝静脈の交通枝,中肝静脈と右肝静脈の交通枝を認めた.交通枝はカラードプラで血流方向を確認した結果,いずれも右肝静脈に向かっていた.本症例は肝内結石症に対して肝左葉切除を安全に施行することができた.超音波ドプラ法は交通枝の血流方向が確認できるため,このような肝静脈走行異常を伴う肝切除術式選択に有用な検査と考えられた.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本超音波医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top