2018 年 45 巻 1 号 p. 57-60
心房細動に対するカテーテルアブレーション(radiofrequency catheter ablation: RFCA)の術前検査を施行したところ,左心耳入口部狭窄例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.2年前より発作性心房細動に対し内服加療中であった.投薬による心房細動の抑止困難のため,RFCA目的にて受診した.心房内血栓評価目的の経食道心エコー図検査(transesophageal echocardiography: TEE)では左心耳の入口部径は3 mmと狭窄し,カラードプラ法では加速所見を認め,最大通過血流速度は1.2 m/secと亢進していた.心房内に軽度のもやもやエコーを認めたが,心房,左心耳内に血栓像は認めなかった.入院後,RFCAによる肺静脈隔離術を施行し,術後心房細動の再発なく経過した.外科的な不完全結紮を除き,特発性左心耳入口部狭窄の報告例は少数である.その病因および臨床的意義は不明である.今後さらなる症例経験を通じ本病態の臨床経過を評価する必要がある.