超音波医学
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原著
臨床検査科での肩超音波検査研修プログラムの試み
藤原 美子山本 周一菊田 健太加藤 由美倉田 慎平水掫 貴満仲川 喜之井上 隆田中 康仁
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2022 年 49 巻 3 号 p. 289-298

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抄録

目的:検査室の肩超音波検査(shoulder ultrasound:SUS)人材育成のためにSUS習得のための研修プログラムを作成し有効性を検証する.対象と方法:SUS未経験技師3名(超音波未経験者1名・他領域超音波経験者2名)を1年間教育した.腱板断裂診断に関し,研修中と研修終了後で肩腱板断裂患者に対し検査を施行した各20症例を対象として,術中所見と比較して,感度・特異度・正診率を調査した.また,研修終了後,指導技師と研修技師3名の技師間診断精度差についても比較検討した.検定にはFisher検定を用いた.結果:研修初期時の上腕二頭筋長頭腱の正診率は,技師1:70%,技師2:72%,技師3:65%肩甲下筋腱は,技師1:50%,技師2:50%,技師3:60%と低値であった.プログラム終了後の上腕二頭筋長頭腱の正診率は,技師1:85%,技師2:80%,技師3:75%,肩甲下筋腱は,技師1:65%,技師2:65%,技師3:85%と改善がみられた.上腕二頭筋長頭腱,肩甲下筋腱,棘上筋腱,棘下筋腱の所見に関して指導を受けた技師によるSUSの術前所見と術中所見を比較し技師間での有意差は認めなかった.考察:今回,我々の開発したSUS研修プログラムは,SUS未経験技師においても,技師間差なく超音波技術を習得できる有用なプログラムであると考えられた.結語:SUS研修プログラムは技師への技術指導に有効である.

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© 2022 公益社団法人 日本超音波医学会
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