超音波医学
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特集「Diagnosis and assessment of nonalcoholic fatty liver disease / nonalcoholic steatohepatitis using ultrasound elastography」
非アルコール性脂肪肝疾患/非アルコール性脂肪性肝炎の超音波診断
多田 俊史西村 貴士吉田 昌弘飯島 尋子
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2022 年 49 巻 5 号 p. 385-396

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抄録

非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)は,診断とコンセプトという点で新たな時代を迎えている.NAFLDという用語は,最新の知見を反映していないと考えられる.本分野の専門家は,より適切で包括的な用語として代謝異常脂肪性肝疾患(Metabolic Dysfunction-associated Fatty Liver Disease:MAFLD)を提案している.NAFLDの進行という観点からは,重度の線維症患者を含めほとんどの患者の死因は肝疾患とは関係が見られない.肝生検は非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)の診断に不可欠である.肝生検は,NAFLDとNASHを鑑別できる唯一の信用に足る手段である.近年,脂肪症および線維症の様々な非侵襲的診断方法が開発された.脂肪症を評価するためのイメージング法として,磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)を使用した超音波減衰測定や,プロトン密度脂肪率が開発された.FIB-4指数とNAFLD線維症スコアは,NAFLD患者の線維症を評価する複合的なスコアである.さらに,線維症を評価するためのイメージング法として,超音波やMRIに基づくエラストグラフィが開発された.複数のリアルタイムシェアウェーブエラストグラフィ機器とトランジエント・エラストグラフィとの間には,強い相関関係が見られる.これは肝硬度を超音波で測定するための絶対的な基準である.結論として,NAFLDはコンセプト,用語および診断の点で転換期に差し掛かっている.超音波検査がNAFLDの評価で果たす役割を再確認するべき時が来ている.

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© 2022 公益社団法人 日本超音波医学会
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