超音波医学
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原著
パケット送信に基づく平面波イメージングへの特異値分解フィルタの適用可能性に関する検討
長谷川 英之長岡 亮大村 眞朗茂澄 倫也斎藤 こずえ
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2023 年 50 巻 5 号 p. 355-363

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抄録

目的:血流の評価は,超音波画像診断で重要な役割を果たす.カラーフローイメージング法は,臨床で幅広く使用されている方法の1つである.自己相関はエイリアシングの影響を受けるため,超音波パルスの送信間隔は可能な限り短くする必要がある.そのため,カラーフローイメージング法では特定の送受信シーケンス,すなわちパケット送信が広く使用されている.さらに,近年導入された平面波イメージング法は,時間分解能の改善に大きく貢献する.また,特異値分解(singular value decomposition: SVD)クラッタフィルタは,従来型のクラッタフィルタよりも優れていることが示されている.本研究では,パケット送信シーケンスを使用した平面波イメージング法でのSDVクラッタフィルタの実現可能性を検討した.方法:本研究では,ステアリング角を変更する前に,平面波を複数回同一方向に送信することで,平面波イメージング法でパケット送信シーケンスを実現した.1番目の方法では,集束送信ビームを使用して走査線単位で受信信号を取得する従来のカラーフローイメージング法のように,各パケットの超音波RF(radio-frequency: RF)信号にクラッタフィルタを適用した.2番目の方法では,パケットごとの送信回数は2に設定され,クラッタフィルタは,異なるパケットでの1回目または2回目の送信から取得したRF信号群に適用された.結果:ヒト頸動脈でのin vivo計測結果では,SVDフィルタを使用した2番目の方法が,従来型フィルタとして多項式回帰フィルタを使用した1番目の方法に比べて,優れていることを示した.結論:SVDクラッタフィルタは,パケット送信シーケンスを使用した平面波イメージング法に適用可能であり,パケットごとの送信回数を2回に制限することで性能が向上した.

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© 2023 公益社団法人 日本超音波医学会
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