日本線虫学会誌
Online ISSN : 1882-3408
Print ISSN : 0919-6765
ISSN-L : 0919-6765
本報
伏せ込み促成栽培後のアスパラガス廃棄根株すき込みによるキタネグサレセンチュウ密度低下と後作レタスの収量増加
浦上 敦子相澤 証子國久 美由紀村上 健二徳田 進一東尾 久雄
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 39 巻 1 号 p. 23-30

詳細
抄録
アスパラガス伏せ込み促成栽培終了後に廃棄された根株を、ガラスびん内キタネグサレセンチュウ(以下、線虫)汚染土壌に乾物あたり1%(w/w)混入すると、線虫密度が明らかに減少した。線虫汚染圃場において2006年4月下旬に作土層の1%にあたる11 kg/m2の根株をすき込む試験を実施し、同一圃場内の別試験区において2007年5月初旬に5.5 kgまたは11 kg/m2の根株をすき込む試験を実施した。その結果、すき込み約4か月後の秋作レタス定植時の線虫密度が、2006年は無処理区の16%、2007年はそれぞれ23%と11%といずれも有意に低く、秋作レタスの結球重および地上部重も有意に高くなった。翌年3月からそれぞれの試験区に根株をすき込まずにレタスを連作したところ、11 kg/m2すき込み区では再度効果が認められた。これらの結果から、アスパラガス廃棄根株のすき込みにより、レタスの収量を増加させる程度に線虫密度を低減できることが明らかになった。
著者関連情報
© 2009 日本線虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top