2011 年 41 巻 2 号 p. 41-44
ジャガイモシストセンチュウは、植物防疫法施行規則において、検疫有害動植物として掲載された重要線虫であり、ジャガイモやトマトの根に寄生し、萎凋や減収等の被害を及ぼす。本研究では最近見いだされたジャガイモシストセンチュウ抵抗性トマト品種を用いて、ジャガイモシストセンチュウの土壌中の密度低減に対する有効性を温室実験で検討した。感受性トマト品種は、ジャガイモシストセンチュウを高率に増殖させ、線虫高密度土壌で栽培した場合には高密度が維持されることが確認された。一方、Doctor-KやSugar-Lump等の抵抗性トマト品種は、ジャガイモシストセンチュウの増殖率が極めて低く、線虫高密度汚染土壌を用いて3か月間栽培したところ、土壌中の線虫密度が96%以上減少した。この結果から、トマト品種や台木品種の選択は、ジャガイモシストセンチュウの防除および管理において、極めて重要であると考えられた。