2018 年 48 巻 1 号 p. 1-10
線虫定量において遺伝子解析手法が広く使われるようになった。遺伝子解析では線虫からの遺伝子抽出が必須であるが、これまで一般に使われてきたDNA抽出法は手間がかかり、また様々な高額機器や消耗品を必要とする。本研究では、線虫溶液からのDNA抽出法を、Naklhaら(2010)をもとに、大量サンプルを、通常の機器や消耗品のみを使って、リアルタイムPCR法による線虫遺伝子の定量に適用できるように改変した。リアルタイムPCR法によるモロコシネグサレセンチュウなどの植物寄生線虫種の定量試験に本手法を適用したところ、検鏡法で頭数を確認した結果と高い相関を得た。本手法はDNA抽出にかかる時間は100分程度と既報の手法と大きな違いはないが、手作業時間は10分以下と、既報の半分から四分の一程度に簡素化された。また、ランニングコストも既報の手法より半分から十分の一まで減らすことができた。