日本線虫研究会誌
Online ISSN : 2186-2672
Print ISSN : 0388-2357
ISSN-L : 0388-2357
田植機栽培におけるイネシンガレセンチュウの増殖と伝播
小林 義明杉山 朝一
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 7 巻 p. 74-77

詳細
抄録
1) イネシンガレセンチュウの近年の多発生の原因を明らかにするため, 1976年に, 近年急速に普及しつつある田植機栽培と手植栽培における本線虫の増殖・伝播の差異を検討した.
2) 種もみから遊出した線虫のイネ体への侵入率は箱育苗において高く, 畑苗代や折衷苗代ではきわめて低かった.
3) 箱育苗においては, 播種後約10日の幼苗から次世代幼虫が検出され, 育苗期間中に約10倍に増殖した.
4) 本田期の発病株率で示される線虫の伝播は接種期間が早期の場合ほど多く, かつその傾向は稚苗機械移植区で顕著であった. 稚苗機械移植は成苗手植えに比べて伝播が多かった.
5) 収穫もみ内の線虫数については, 線虫の接種時期が早いもの程, 多い傾向がみられたが, 移植方法間には大差がなかった.
6) 以上のことから, 稚苗機械移植栽培では, その育苗法が本線虫の侵入増殖に適しているうえに, 本田期の伝染も高いので, 本線虫の発生を増大させるものと考えられる. またこのことは共通した栽培方法をとる田植機栽培一般にも適用できるものと考えられる.
著者関連情報
© 日本線虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top