日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
短報
独居高齢者の自己決定権に基づいた退院支援の一考察
福田 順子山本 鯉恵野村 真由美田中 眞里子
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2018 年 10 巻 1 号 p. 73-79

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抄録

本研究は、退院先について思いの異なる独居高齢患者と家族への退院支援のあり方について考察することを目的とした。今回、筆者らを含む看護チームは自宅退院を切実に希望する高齢患者に対し独居生活が可能であるかアセスメントを行い、この患者の自己決定を尊重することは可能であると判断した。しかし、血縁者である娘たちから自宅退院の同意を得ることに困難を極めた。患者と家族、それぞれの思い、背景にある事情を考慮しつつ退院支援を行う中で、介護に対する思考にはジェンダー差が存在し、女性特有の「介護の現実思考」と男性特有の「家族一体規範」があること、そして、両者の視点がよりよい形での「家族一体」を作り上げ、高齢者の自己決定をサポートする一助となることが示唆された。

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© 2018 日本看護倫理学会
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