日本看護倫理学会誌
Online ISSN : 2434-7361
短報
看護管理者が認識する道徳的苦悩の軽減を目指した組織的支援のあり方
山本 麻記子太田 勝正
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2020 年 12 巻 1 号 p. 44-53

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抄録

本研究の目的は,道徳的苦悩の軽減,あるいは道徳的回復力の育成への組織的支援について,看護師長の認識と実態を明らかにすることである。7つの先行文献から22の質問項目を抽出・精選した。属性,組織的支援に関する22の質問,福井らによる組織風土尺度で構成した調査票は,全国200床以上の病院に勤務する看護師長を対象に758部の回答を得た(回収率56.9%)。探索的因子分析では,看護師長の倫理的姿勢と態度』『病棟の倫理的体制』『看護部の倫理的体制』『病院の倫理的体制』の4因子22項目が抽出された。属性との検討で有効な有意差を示したのは,所属する診療科と組織風土分類のみであった。ただし「実施頻度」と組織風土分類については,全因子との関連でイキイキ型が有意に高いスコアを示した。本研究により,強制的・命令的な雰囲気が少なく,合理的な組織管理ができている職場風土では,看護師の道徳的回復力を育成できる可能性が示唆された。

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© 2020 日本看護倫理学会
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