2016 年 8 巻 1 号 p. 62-69
研究目的は、看護師が日頃行っている排泄援助はどのような日常倫理に支えられているのかを明らかにすることである。研究対象者はある総合病院に勤務する看護師17名で、参加観察を行ったあとに半構成的面接法でデータを収集し、質的帰納的に分析を行った。日常倫理からみた看護師が行う排泄援助は、【排泄は人間にとって当たり前のこと】【するべきところで、自分で、ゆっくり、すっきりできるようにしたい】【嫌だろうなあ】【気配を消す】【やりとりしながらすすめる】【慣れたらいかんなあ】の6つのカテゴリで構成された。さらに文脈から【やりとりしながらすすめる】パターンと、【嫌だろうなあ】パターンとの二つの排泄援助パターンが見出された。【やりとりしながらすすめる】パターンで看護師が大切にしていた【気配を消す】は、排泄援助を支える重要な日常倫理であることが示唆された。