抄録
本研究の目的は、看護師のシミュレーション教育に関する論文の分類・整理を通して、その研究の動向を明らかにすることである。医学中央雑誌WEB版で「看護師」「シミュレーション」「教育」をキーワードとして、2010年から2017年に公表された128件の論文を対象とした。分析の結果は、研究論文数は増加傾向であり、研究の対象者は経験年数を特定しない看護師が大部分を占めていた。シミュレーション教育の内容は、臨床場面に近い状況で行うシチュエーション・ベースド・トレーニングが最も多かった。また、論文の多くが公的医療機関から発表されており、日本の医療施設の大部分を占める医療法人の研究論文は少なく、地域におけるシミュレーション教育の実態について明らかにする必要性があることが示唆された。多職種と協働したシミュレーション教育は積極的に行われており、チーム医療の教育においても重要であることが示された。