抄録
本研究の目的は、新人教員に対するファカルティ・ディベロップメント(FD)を推進するために示唆を得ることである。その方法として、看護系大学の新人教員に関する国内文献の分析を通して、新人教員の資質の改善・向上のための中心的課題と必要な要素を検討した。その結果、中心的課題は、実習指導能力の向上と考えられた。また、新人教員の職務上の態様は、[ 困難を示す要因 ] [ 困難に影響を与える要因 ] [ 対処 ] [ 効力 ] [ 教員としての基本的資質に関連する要因 ] [ 理想と現実との乖離 ] の6個のカテゴリーに分類できた。これらのカテゴリー間の関連性を検討した結果、新人教員に対するFD推進のためには、新人教員が抱え易い困難を軽減させることの重要性も示唆された。以上から、[ 教員としての基本的資質に関連する要因 ] に示された教員各々の教育・臨床経験などを考慮した上で、[ 困難に影響を与える要因 ] に働きかけることが必要であると考えられる。