鳥の営巣環境間での捕食率の違いの調査と捕食者を特定するために奄美諸島喜界島で擬巣実験を行った.擬巣実験によって捕食された巣の割合と生残確率の両方で,森林の巣が藪と草原の巣より容易に捕食されることが示唆された.また自動撮影装置を設置した擬巣では移入哺乳動物(クマネズミRattas rattasとニホンイタチMustela itatsi)とハシブトガラスCorvus macrorhynchosが捕食者となっていることが明らかとなった.個々の巣の隠蔽度または巣間の距離は捕食との間に統計的に有意な関係が見出されなかった.森での頻繁な巣の捕食は,環境内の捕食者種の多さと生態によって生じる可能性が考えられる.