2012 年 61 巻 1 号 p. 17-28
愛知・岐阜県内の4コロニー(鵜の山,愛知県森林公園,弥富野鳥園,船附鳥獣保護区)で捕獲した8個体のカワウにGPSアルゴスシステムの送受信機を装着して追跡を行った.コロニーやねぐらから採食地(昼間の活動場所)の距離は,どの個体においても,平均で2-11kmであることが分かった.その結果を反映して,沿岸のコロニー・ねぐらを利用する個体は海上と河口を,内陸のコロニー・ねぐらを利用する個体は河川を主要な餌場として利用していた.ほとんどの個体がねぐらの変更を行い,そのねぐら間の距離は,ほとんどの場合で20km以上,最長で50kmであった.また,アユの放流時期に合わせてねぐらを移動させる個体がいること,非繁殖期に数カ所のねぐらの移動を行ったあとに繁殖期にはもとのコロニーに戻ってくること,繁殖中にもコロニー以外の場所にねぐらをとる個体がいることなどが明らかになった.