2015 年 64 巻 1 号 p. 77-82
日本におけるコクガンの主要な越冬地である渡島半島東部,津軽海峡,陸奥湾沿岸域において,個体数と生息環境を把握するため,2012年12月下旬に広域的な調査を行った.合計1,060羽が確認され,渡島半島南東部と陸奥湾南東部で特に多かった.コクガンは餌となる藻類が着生しやすい人工護岸と磯浜で生息密度が高く,また,消波堤等の離岸構造物がある海岸を選好した.これは,離岸構造物の内側は波が穏やかで餌となるアマモが生育しやすいほか,流れ藻がたまりやすく,採餌に適しているためと考えられる.