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日本鳥学会誌
Vol. 65 (2016) No. 2 p. 161-166

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http://doi.org/10.3838/jjo.65.161

短報

 マガンは全国的に個体数が増加し,そのうち9割以上の群れが伊豆沼・内沼など宮城県北部で越冬する.ガン類は広い水面をねぐらとして利用するため,水面の確保が重要だが,伊豆沼・内沼ではハスが年々拡大し,水面の85%を占めている.この研究では,マガンのねぐらとなる水面の確保へ向けた保全対策をすすめるため,沼の北部,南部の2カ所においてUAVによってハス群落内部,周縁部,ハスのない水面で撮影を行い,マガンのねぐらとしての伊豆沼・内沼の環境収容力を推定した.UAV降下の際,マガンの警戒行動は認められなかった.ハス群落内部の茎密度は263.3本/aで,周縁部の茎密度(106.0本/a)より有意に高かった.茎密度の高い群落ではマガンは観察されなかった.ハス群落周縁部では,記録された1,540羽のマガンのうち,97%にあたる1,494羽がハスのない水面を利用した.マガンの個体間距離は北部のねぐらで1.3 m,南部のねぐらで1.2 mであった.この個体間距離とねぐら個体数にもとづいて,ねぐらとしてマガンにとって必要な水面の面積は13.3~18.9 haと推定され,その面積は,ハスのない,ねぐらとして利用可能な水面の22.9~32.5%を占めることが明らかとなった.

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