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日本鳥学会誌
Vol. 66 (2017) No. 1 p. 1-9

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http://doi.org/10.3838/jjo.66.1

原著論文

 世界的に普通種の減少に注目が集まっている.普通種は個体数が多いため,その減少は生態系サービスに大きな影響を与えるからである.日本においては,普通種であり,かつ最も身近な鳥の1つであるスズメが減少していると言われている.これまでスズメの減少要因として,建物の建て代わりによってスズメが営巣できる隙間の数が減ったこと,都市の緑地が減って繁殖成績が下がったことが挙げられているが,どちらも間接的な証拠しかない.そこで本研究では,北海道函館市内の住宅地に10,000 m2の調査区を24設置し,緑地に近いかどうか,建物の隙間の数が多いかどうかによって,スズメの営巣数が異なるかどうかを検証した.AICを基準に,スズメの営巣数を説明するモデルを選択した結果,スズメの営巣数は,緑地が近くにあること,営巣できそうな換気口の数が多いこと,に正の影響を受けていることが示された.もしこの要因が確かなら,今後も,スズメの減少は続く可能性がある.都市における緑地は減少し,建物の建て替わりによってスズメが営巣できる隙間の数は減少すると予測されるからである.

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