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善光寺平におけるコサギの個体数消長と空間分布
羽田 健三岩崎 文
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1982 年 31 巻 2-3 号 p. 41-56

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抄録
(1)1978年から1981年にかけて,長野県北部に位置する善光寺平において,コサギの分布と個体数変動に関する調査を行なった.
(2)繁殖コロニーと塒は,河川にそって形成されていた.塒が使用される時期は,塒ごとに毎年ほぼ決まっており,規則的であった.
(3)個体数は,繁殖終了後急増し,翌年の繁殖期にかけて徐々に減少した.しかし,繁殖個体数の年々の増加とともに,繁殖終了後の増加は年々小規模となった
(4)日中の分布は,繁殖期にはコロニー周辺に集中していたが,繁殖終了後まもなく調査地域全域に広がった.
(5)採食範囲は,繁殖期にはコロニーから7kmないし13kmであった.しかし,非繁殖期には,繁殖期のほぼ半分で,塒から7.4km内と狭まった.
(6)採食範囲の重なりは,繁殖期にはなく,非繁殖期にだけみられた.コロニーの大きさと採食範囲の広さとの間には,明確な相関関係が見い出せなかった. (7)コサギは1970年頃までは長野県下でまれであった.それが善光寺平で個体数が増加し,繁殖が開始され,繁殖個体数の増加後に減少がみられた理由,および非繁殖期に塒を分散させる要因について考察した.
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