日本鳥学会誌
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ダイズのハト害の季節変動とその要因
松岡 茂中村 和雄
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1987 年 36 巻 1 号 p. 55-64

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抄録

キジバトによるダイズの子葉食害の季節変動のパターンを明らかにするため;1981-1986年の間,4月から8月までほぼ2週間おきに茨城県筑波郡に所在する農業研究センターのほ場でダイズを播種し,その被害状況を調査した.
1)出芽前の種子段階での被害は,4月には低かったが5月に高くなり,6月以降は再び低くなった.また,第1回目播種よりも2回目播種のダイズの被害粒率が常に高かった.
2)出芽後の被害は,4月には高い年も低い年もあったが,5月にはほとんどの年で被害本数率が高かった.しかし,6月にはいると被害は少なくなり,その後も比較的低い被害本数率で推移した.総被害本数率が高い場合には,回復不可能な被害(引抜き,生長点までの食害)の割合が高かった.
3)6月初•中旬のオオムギの成熟期前にはダイズの被害本数率は高かったが,成熟期後は急速に低くなった.
4)他地域でのダイズの被害の季節変動とムギの収穫期との関係,ドバトの餌内容の季節変化,キジバトの行動の変化,収穫時畑に落下するムギの量などについて考察を行い,6月のダイズの被害率の低下がムギの成熟期と強く関連することを示唆した.

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