日本鳥学会誌
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サシバ Butastur indicus の繁殖成功率
小島 幸彦
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1987 年 36 巻 2-3 号 p. 71-78

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抄録

1)1977年から1980年まで,大阪府河内長野市近郊の山間部において,サシバ Butastur indicus の繁殖成功について調査した.
2)第1卵の平均産卵日と孵化日は,それぞれ4月29日と5月31日であった.一腹卵数は平均2.7卵で,孵化率は83%であった.
3)1巣当りの初期雛数と終期雛数は,それぞれ2.5羽と2.4羽であった.繁殖が失敗した巣も含め,産卵が行なわれた巣の巣立ち雛数は平均1.9羽であった.第1子の平均巣立ち日は7月5日で,育雛期間は36日間であった.巣立ち率は78%であった.
4)調査した66巣のうち,少なくとも64巣(97%)で産卵が行なわれ,60巣(91%)で少なくとも雛1羽が孵化し,52巣(79%)で雛が巣立った.
5)21%の巣では,1羽も雛が巣立たず繁殖は失敗した.その原因は主に捕食と落巣(巣を支えて いた枝が折れたことによる)であった.
6)平均産卵日,一腹卵数,雛数と繁殖成功率に関して顕著な年変化が見られなかったことから,調査期間においては食物供給量は安定していたと推察される.また未孵化卵と雛間競争による雛の死亡がほとんどなかったことから,調査地の食物条件は良好であったと思われる.

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